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瘀血(おけつ)とは

瘀(お)という字は「停滞」を意味します。

瘀血とは「血液の流れが滞った状態」や「流れが滞った血液」のことです。

はなちゃん

血行が悪いと、なんとなく身体全体に良くない気がします。

東洋医学では「瘀血は万病のもと」と考えられ、もっとも改善すべき状態だとされています。

瘀血そのものは「病気」ではなく、様々な症状を起こしやすい「病態(身体の状態)」と捉えます。

はなのやま

ちなみに、現代医学には「瘀血が疾病の原因になる」といった考え方はありません。

  • 慢性的で治りにくい
  • 改善しても再発する
  • 症状が激しい(刺すような痛み)
  • 頑固な肩こり・首こり
  • 慢性頭痛
  • 腰痛・下肢の神経痛
  • アレルギー(喘息・アトピー性皮膚炎)
  • 冷えのぼせ・頭皮の熱感(押すとプヨプヨ)
  • 動悸・胸痛・息苦しさ
  • 強い生理痛、不正出血など月経の異状
  • よく眠れない、寝ても休まらない → 抑うつ症状に

など、多岐にわたります。

一見、更年期症状や婦人科疾患のようにもみえますが、症状が強く改善しにくい場合、身体に瘀血(おけつ)のサインが出ていることも少なくないのです。

瘀血(滞った血液)の悪影響

長く滞って機能しなくなった血液は抗菌力を失い、細菌等の繫殖を容易にし、次第に毒性を有します。

瘀血が生じている部位はもちろん、このような「悪血」が全身に循環してしまうと、様々な内臓や組織に沈着し、その結果、身体の至る所に疾病や機能異常を誘発しやすくなります。

はなちゃん

悪い血が血流によって全身に広がってしまうから「万病のもと」なんですね。

はなのやま

瘀血は発症に関わるだけでなく、治癒を妨げてしまいます。

滞った瘀血を動かさない限り、症状は再発しやすい(改善しにくい)のです。

  • 痛みや凝り
    慢性化した肩こり・頭痛、腰痛、坐骨神経痛、リウマチ様のこわばりや痛み
  • 全身の症状
    冷え、のぼせ、多汗、不眠、イライラ、ヒステリー、アレルギー、手足のしびれ、不安神経症、健忘(物忘れ)、抑うつ傾向
  • 皮膚の症状
    頭皮の熱感(押すとプヨプヨ)、蕁麻疹、湿疹、皮下出血しやすい(青あざ)、肌色にツヤがなく暗い、眼のクマ、皮膚のざらつき(鮫肌)
  • 婦人科疾患
    生理痛、月経不順、不正出血、更年期障害、子宮筋腫、子宮内膜症
  • 循環器・呼吸器疾患
    気管支喘息、動悸、高血圧症
  • 消化器疾患
    腹部の膨満感や不快感、胃酸過多、胃潰瘍、便秘、便の異状(黒い・硬い・コロコロ)、痔疾
  • 泌尿器疾患
    間質性(菌の確認できない)膀胱炎、頻尿

瘀血ができる要因

  • 慢性疲労
  • 精神ストレス
  • 冷え
  • 気疲れ・不安
  • 出産や大病・手術による気力・体力の衰え

東洋医学では、血液を循環させるものは「気の巡り」によるけん引力(推動作用)であるとされます。

気力や体力の消耗は、気の働きを弱めますので、血液を循環させる力が低下します。

また、ストレスやイライラ、心配事などで、気の流れが滞ってしまっても、血流障害が起こりやすくなります。

はなちゃん

精神的な影響も大きいのですね。

はなのやま

不安やストレスが続いて交感神経が優位になると、体は緊張状態となり、血管が収縮して血流が阻害されるのです。

  • 月経血の残留
    月経の異状や閉止により、本来排泄されるはずの経血が体内に滞り、再吸収されてしまったもの
  • 打撲・打ち身・捻挫・外傷・手術
    内出血や出血が再吸収されてしまったもの
  • 高熱による溶血等
    高熱により溶解された血液が体内に再吸収されてしまったもの
  • 瘀血体質の遺伝 
    性格的遺伝(ストレスや不安を感じやすい)
    体質的遺伝(体力がなく疲れやすい、冷えやすい)
  • 母体の瘀血が胎児に
    妊娠中に於ける心身ストレスなどで生じた母体の瘀血が循環され胎児に滞る
はなちゃん

お母さんに出来た瘀血が赤ちゃんにも影響するのですね。

はなのやま

東洋医学では、母体の心身ストレスは「胎毒(たいどく)」とされ、赤ちゃんの生まれつきの気質や体質(アレルギー・皮膚や髪皮のトラブル・神経症状など)に関わると考えられています。

妊娠中の母体ケアは、生まれてくる赤ちゃんの健康の土台作りでもあるのです。

当院では、妊娠される前からのコンディション作り・瘀血(胎毒)処置をおすすめしています。

  • 食生活のアンバランス
    栄養バランスの偏りや、脂質が多い食生活によって、血液の状態が劣化し、瘀血が生じやすくなります。
  • 運動不足(長時間の座位)
    運動不足になると、心臓へ血液を送り返す筋肉の働き(ミルキングアクション)が減少し、全身の血流が滞りがちになり、瘀血が生じやすくなります。

瘀血の有無をチェックしましょう

瘀血の有無を、ご自身でチェックしてみましょう。

  • 肩こりや頭痛が慢性化している
  • 胸が苦しくなる・痛くなる
  • 顔色が悪いとよく言われる
  • 目の下のクマが消えない
  • 唇が紫色になりやすい
  • 打撲すると(しなくても)アザができやすい
  • 夏でも手足の先が冷える
  • 手や足がよくしびれる
  • 手のひらに赤い斑点が出来やすい
  • 生理痛や生理不順がしょっちゅうある
  • 子宮筋腫・子宮内膜症がある
  • 舌の裏側の血管が紫色に腫れている
  • 舌が暗赤色で紫色のシミがある
  • 膝裏やふくらはぎ、腹部の血管が浮き出ている
  • 皮膚がざらついている(鮫肌)
  • 痔がある

瘀血を改善する為のセルフ・ケア

  • 食習慣の改善
    食習慣を見直すことで、血液の状態が良くなり、血液循環も改善されます。
    玉ねぎ、長ネギ、キノコ、納豆、酢のもの、青魚、野菜なども血液の状態を良くしますので積極的な摂取を。
  • 身体を温める
    身体を温めることで血行を促進します。
    湯船(少しぬるめの温度)に浸かったりして、ゆっくりと(20分以上)心身を温めてあげましょう。
    自律神経のバランスも整いやすいのでストレス・ケアにもおすすめです。
  • こまめな運動を心がける
    こまめに身体を動かすことで血液循環を促進します。
    人間の体は、下半身の方が筋肉が多い(大きい)ので、血流改善には足腰を動かす方が効果的です。
    なるべく階段を使う、歩いて行くなど、スポーツでなくても良いのです。
  • ストレスをため込まない
    ストレスは、無意識のうちに心身を緊張・萎縮させますので、血管も萎縮し血流が悪化します。
    ご自身にあったストレス対処法、相談できる相手(話すと楽になるものです)など、適度なストレス発散を。
  • 原因となる病気の治療
    他の病気が原因で瘀血ができやすい場合、その病気の治療が最優先です。

瘀血に対する鍼灸治療

鍼灸で瘀血を治して下さい

と、直接患者様からご相談をいただくことはありません。

瘀血は、それ自体が特定の病気なのではありません。

瘀血とは、様々な症状を誘発し、増悪させ、治癒しにくくする病態(その方の身体の状態)です。

  • 改善しにくい
  • 再発しやすい
  • 症状がきつい(刺すような痛みなど)

などといった症状の背後に潜んだ「瘀血のサイン」を探すところから治療が始まります。

カウンセリングで伺った、

  • 疾病・外傷・事故・手術既往歴
  • 婦人科疾患の既往、出産や流産の有無
  • その方の年齢(生理的な変化)
  • お仕事や家庭などのストレス環境

などの中に、瘀血が出来やすい要因が潜んでいることも少なくありません。

身体的には、脈状や腹部・頭皮・舌の状態などから、瘀血の治療が必要かどうかの判断をします。

また、首・背中や腹部、骨盤・下肢に、糸ミミズ状の細い血管 が浮き出ていることもあり、反応があれば、うっ血処置の対象となります。

腹部

おへその左側・下側にある圧痛(押すと痛む)や硬さです。

腹部瘀血のサイン(イラスト)
おへそ周辺(左が多い)の固さや押されると痛む

頭皮

頭皮に熱感があって、押すとプヨプヨした感じがあります。

「最近髪質が細くなった、パサついてゴワゴワしだした」

「抜け毛や枝毛が増えた」

なども、注視すべき瘀血のサインです。

  • 舌が暗い赤色で紫色の斑点がある
  • 舌裏にある太い血管が紫色になって膨らんでいる

といったサインが出ていることもあります。

  • 血は気の推動作用で循環しますので、気の流れをスムーズにすることが基本となります。
  • 東洋的な考え方に基づいた鍼灸治療は、全身(心)を対象にして、気の滞りや気の不足を改善します。
  • 外傷性のうっ血・時間の経過した瘀血に対しては、補助治療として、お灸やうっ血処置を行います。

その方に備わった、本来の自然治癒力・精神活動・生殖機能の働きをセーブしてしまう瘀血。

症状が改善しにくい辛さ、原因がわからない不安、それによる貴重な時間や機会の喪失・・・。

すべてが瘀血のせいだとは言い切れませんが、ご自身の瘀血の有無を考えてみることで、根元からの改善に繋がることも少なくないのです。