更年期(障害)の症状に個人差がある3つの理由
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閉経後の30年以上を生きる現代女性
人生50年の時代には、更年期という言葉さえなかったことでしょう。
閉経の時分には、多くの女性が寿命を迎えていたと思われます。
ですが、現代の女性は、閉経から更に30年以上を生きていくことになるのです。
更年期の期間 ~ライフサイクルの変化の中で~
閉経に伴う心身の変調期
更年とは「年を更(へ)る」という意味。
閉経に伴い、女性の身体が老年期へ移行するシーズンです。
閉経の前後の約10年間(仮に閉経を50歳とすれば、概ね45歳~55歳の間)にかけての心身の変調期をいいます。
この間は、女性ホルモンの減少などが要因となり、女性の体内では、大きなバランス変動が続きます。
女性ホルモンの減少や自律神経の乱れにより、不安定になるカラダを支えきれない
更年期には、様々な不調が起こりやすく、症状の程度や期間には 個人差 があることが知られています。
生活環境の変化や社会的責任、ストレスが増える年代
40代~50代の女性には、閉経に向けた心身の変調と共に、大きな環境の変化、社会的責任や精神ストレスも増えていきます。
40代からのライフサイクルの変化
- 老化現象の出現(若さ・女性美の喪失感)
- 母親の役割の終了(空の巣症候群)
- 子供が成人し進路や就職の心配から急に解放される(荷下ろし)
- 両親・近親者・友人の死による孤独感や不安感
- 夫の定年後や老後の経済的不安
- 家族や友人との人間関係の変化(コミュニケーションの葛藤)
- 社会人としての責任や責務の増大
- 仕事(管理職など)の責任やストレスの増大
また、体力や容貌などにギャップが現れやすい時期でもあります。
女性にとっては、心身両面から多様な変化が押し寄せる、厳しい時期といえます。
更年期指数をチェックしてみましょう
合計が50点以上ですと、医療機関の受診を勧められるレベルとされています。
強 | 中 | 弱 | 無 | |
顔がほてる | 10 | 6 | 3 | 0 |
汗をかきやすい | 10 | 6 | 3 | 0 |
腰や手足が冷えやすい | 14 | 9 | 5 | 0 |
息切れ・動悸がする | 12 | 8 | 4 | 0 |
寝つきが悪い・または眠りが浅い | 14 | 9 | 5 | 0 |
怒りやすく、すぐイライラする | 12 | 8 | 4 | 0 |
くよくよしたり、憂鬱になる事がある | 7 | 5 | 3 | 0 |
頭痛・めまい・吐き気がよくある | 7 | 5 | 3 | 0 |
疲れやすい | 7 | 4 | 2 | 0 |
肩こり・腰痛・手足の痛みがある | 7 | 5 | 3 | 0 |
更年期の症状と個人差の要因
更年期症状とは
更年期に現れる多種多様の症候群で、器質変化に相応しない、自律神経失調症を中心にした不定愁訴を主訴とした症候群
日本産婦人科学会による「更年期症状」の定義
つまり、
- 40代~50代の女性に起こりやすい、
- 他の病気のせいではない、
- 自律神経失調症などを中心とした様々な心身の不調
ということです。
更年期に伴う心身の不調には 個人差がある のが特徴です。
更年期障害とはどういう状態なのですか?
更年期症状には個人差が大きく、殆ど気にならない方というがおられる一方で、身体的にも精神的にも長期間苦しまれる方もおられます。
このうち 日常生活に支障をきたしてしまうレベルの不調 を更年期障害といいます。
更年期にはどのような不調が起こりやすいのでしょう?
更年期に多い症状
- 疲れやすい、疲労倦怠感、うつ
- 肩こり、腰痛、頭痛、関節痛、しびれ
- 目の疲れ、喉のつかえ、めまい、耳鳴り
- のぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)
- イライラ、落ち込み、不眠
- 冷え、頻尿、尿漏れ
- 高血圧
- 肥満(脂質代謝の低下)
- 皮膚のかゆみ
閉経に関連して起こる疾患
- 骨粗しょう症
- 動脈硬化
- 心血管系疾患
- 肥満(脂質代謝の低下)
- 乳がん
- 尿漏れ
- 膀胱炎、膣炎
- アルツハイマー型認知症
個人差が生じる理由は
卵巣機能の低下だけではなく 環境要因や 精神的要因 が複雑に重なり、症状の程度や期間に影響するのでは?と考えられています。
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女性ホルモンの減少に抗わない、更年期症状の緩和
更年期の症状で一番辛いと感じているのは?
更年期の女性を対象に行ったアンケート調査の結果では、
- 疲れやすい
- 肩こり
- 腰痛
- 手足の痛み
- 腰や手足が冷えやすい
- 怒りやすい、イライラする
- くよくよする、憂鬱になる
などが上位でした。
これらの症状は、どの年代の女性にもみられ、その多くは治療の効果が期待できるものです。
目的は、快適で活動的な日常を取り戻すこと
加齢による女性ホルモンの減少は生理的な現象であり、摂理です。
女性ホルモンの減少に抗うのではなく、症状の緩和により「快適で活動的な日常を取り戻す」ことに主眼を置かれる方が、自然で現実的です。
不調や症状が緩和されれば、日常生活もずっと過ごしやすくなるでしょう。
それにより精神的な余裕が生じれば、様々な心身の変調も受け入れやすくなるのではないでしょうか?
更年期を受け止め、支えることが出来る心身の土台作り
更年期症状の程度には、
- 社会的な要因
- 環境的な要因
- 性格や気質
- 心理的な要因
などが関わります。
症状の緩和には、婦人科領域に対してだけでなく、心のケア も必要になるでしょう。
鍼灸には、疲労感の軽減やストレス緩和の効果があることが知られています。
経年の鎧(よろい)を脱ぎ捨て、心身を軽くして、より快適に更年期を乗りこなしていくのです。
女性の一生は戦う敵で一杯です。
ブログ文責 橋本昌周