食べない子供と偏食の理由
「好き嫌いをなくしたり、良く食べるようになるツボはありますか?」
小児はりの施術中に、お子さんの食に関するご相談をいただくこともあります。
食欲のムラ、好き嫌い、食べたがらない、食が細い、などなど。

「なんでも食べさせたい」「たくさん食べさせたい」
お子さんの食を心配する親の気持ちは、世界共通なのだと思います。
「食べない」「いらない」「コレ嫌い」
親の心子知らずで、子供の食欲のムラや、偏食(好き嫌い)は、
大人から見れば、ただの気まぐれや、わがままに見えることでしょう。
食べない子や好き嫌いの多い子は、ただの気まぐれやわがままなのでしょうか?

「この子は、消化能力以上に食べないことで、本能的に自分を守ろうとしているのでは?」
日々、子供たちに接していると、そう思えることも多いのです。
食べるとは、ゴクンと飲み込むまでではありません。

食べるとは、飲み込んだ後の、消化器の働きによる栄養吸収までを意味します。
そして、食べたものを消化吸収する為には、ある程度の体力が必要です。
消化吸収には体力を奪われる
これは小児に限らず、消化吸収能力が発達した大人も同様で、
体力がない時の、”こってりした栄養価の高い食事”は、まるで食べ物が素通りするかのように(体が消化吸収を拒んで)、体力を奪うだけで、未消化の便として出されてしまいます。
ですので、病み上がりの方や断食を終えた直後には、(栄養を摂らせてあげたくとも)いきなり栄養価の高い食事を摂らせないのです。
栄養の吸収には、食物の「栄養価」や「摂取量」だけではなく、その時の体力や消化吸収力とのキャッチボールも考える必要があるのです。
特定の食品に対して消化吸収が苦手な場合もあります。

例えば、牛乳を飲むと下痢をする、小麦食品(グルテン)を食べるとガスが溜まりやすい、腹痛が出やすいなど。
わがままに見える「好き嫌い」も、体調の負担になる食べ物を、その子の経験から本能的に拒絶しているのかも知れません。
過去には、幼児の頃に喉に詰まって苦しい思いをした食品や、以前に食あたりを起こした食品を、頑として一切受け付けなくなった子もおりました。
このような、大人にはわからない、小児ならではの警戒心による「好き嫌い」や「苦手」のケースも考えられます。
子供は、毎日ゆっくりと消化吸収の練習をしています。

ある程度成長するまでは、一人ひとりの消化吸収能力には、バラつきがあって当然です。
また、成長して消化吸収力が高まれば、今まで負担になって食べられなかったものが、普通に食べられるようになることも多いのです。

見守るべき(改善するべき)は、食べる量や品目だけでなく、その子の消化吸収力(胃力)や、食べ物に負けないだけの体力の成長だと考えます。

当院で実践する「小児はり」は、お子さんの全身(心)のバランスを調整することで、日々の成長を促し、消化・吸収力の成長をサポートします。
「ハリを受けた日は良く食べます。」と、ご報告をいただく事も多いのです。
ブログ文章 橋本昌周