【夜中にトイレが近い理由】夜間頻尿の原因と改善
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せっかく熟睡していても
50歳以上の二人に一人は、夜間頻尿に悩まれたことがあるといわれます。
せっかく熟睡していても、夜中に尿意で起こされてしまうのは、本当に辛いものです。
トイレに行く回数が2回、3回と増えれば、慢性的な睡眠不足になり、日常生活への支障が懸念されます。
睡眠障害による健康リスク
- 慢性的な睡眠不足になると、QOL(生活の質)が低下 します。
- 寝ぼけてトイレに行く回数が増え、高齢になるほど 転倒の危険性 が高まります。
- 深く眠れないので成長ホルモンが十分に分泌せず 骨・筋肉が弱くなります。
- 睡眠不足によるイライラ・過緊張の状態は、高血圧や糖尿病などの 生活習慣病のリスク に。
夜間頻尿による睡眠障害は、様々な健康リスクにつながる可能性があるのです。
夜間頻尿の原因には
夜間頻尿の原因としては、
- 夜間多尿
- 膀胱の蓄尿障害
などの泌尿器の異常があげられます。
ですが、問題は泌尿器だけではありません。
背景には、
- 高血圧症や心不全などの循環器系の病気
- 前立腺疾患(男性)
- 骨盤子宮脱(女性)
- 精神的・神経的な要因
が潜んでいることもあるのです。
また、睡眠障害のせいで夜中に何度も目が覚め、そのついでにトイレに行きたくなるという、本質的でない夜間頻尿もあります。
年齢のせいだと諦めずに、頻尿の原因に気づいてあげることが大切です。
夜間多尿タイプ
夜間多尿とは「夜間に作られる尿量(夜間尿量)が、一日の総尿量の30%以上である状態」をいいます。
夜間の頻尿に悩まれている方の約8割は、この「夜間多尿タイプ」です。
夜間に尿量が増えてしまう要因には
- 水分や塩分の過剰摂取
- 降圧剤などによる薬剤性の尿量増加
- 高血圧
- 糖尿病
- 腎障害
- 循環器の病気
などが挙げられます。
高齢者や高血圧症をお持ちの方は
夜間でも血圧が低下しにくく、夜間尿量が多くなるために、トイレに起きる回数が増えることが知られています。
また、加齢に伴い 尿量を調整するホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌が減少する ことも、夜間尿量が増えてしまう要因とされています。
夜間多尿の予防・改善策としては、
水分や塩分の過剰摂取、就寝前のアルコールやカフェインを控えてみられてはいかがでしょうか?
膀胱畜尿障害タイプ
蓄尿障害とは、
- 尿を多く(長く)溜めておけない状態です。
- 夜間だけでなく、日中もトイレが近くなります。
- 夜間に作られる尿量が正常でも、「尿を溜めておく」という膀胱の機能が追いつかないために、少量ずつ何度もトイレに行かざるを得ません。
原因としては、男性では前立腺に関わるもの が最も多く、
女性では、
- 神経因性膀胱(更年期の自律神経失調によるもの)
- 過活動膀胱(様々な刺激要因により膀胱が過敏になっている状態)
- 骨盤子宮脱(膀胱への圧迫刺激になる)
などがあげられます。
また、脳血管障害の後遺症で、膀胱を動かす神経のコントロールが上手くいかなくなるケースもあります。
夜間頻尿の原因を見つけるために
排尿日誌
夜間頻尿の原因を見つけるために「排尿日誌」をつけることをおすすめしています。
排尿日誌には、排尿1回に対しての排尿時刻と排尿量を、起床時から次の日の起床時まで記入します。
ご自分の夜間頻尿が、
- 夜間の尿量が多い夜間多尿タイプなのか
- 尿を溜められない蓄尿障害タイプなのか
を調べることができます。
クリニックでの腹部超音波検査
膀胱内の結石や腫瘍、前立腺の肥大や癌の有無などを調べる検査です。
- 結石
- 腫瘍
- 尿路の感染症
などは膀胱への刺激になり、蓄尿障害(過活動膀胱)の原因になりやすいのです。
何故、朝までオシッコを溜めておけないのでしょう?
ここからは、東洋的な考え方で夜間頻尿(蓄尿障害)をみてみましょう。
湯気の出るオシッコは、温かい液体のイメージがあります。
ですが、腎(じん)から作られたばかりの「原尿」は陰性が強く、とても冷たい液体です。
その冷たい原尿が、体温を奪うことで湯気の出る温かいオシッコになるのです。
ここでいう、奪われた体温とは 生命力そのもの です。
-
オシッコが溜まらないうちに、何度もトイレに行きたくなるのは何故でしょう?
-
冷え疲れた体は、冷たい原尿を溜めておきたくないのです。
これ以上、自分の体温(生命力)を奪われたくないのです。
腎(じん)の仕事は、オシッコを作るだけはありません
腎とは、オシッコを作るだけの器官ではありません。
- 元気の源である精気を作る
- 気力・体力の回復
- 若さ(耳・骨・髪・歯・集中力や根気強)さに携わる
- 自然治癒力
- 生殖機能の働き
など、その方の若さやバイタリティー(生命力の働き)と深い関係があるのです。
過活動する膀胱を抑えるのは腎(生命力の働き)
陰陽五行の考え方では、腎は最も陰性が強い器官とされ、真夜中に盛んに活動する性質を持っています。
また、膀胱と腎は表裏一体の関係です。
表裏一体とは、例えれば、漫才コンビのボケとツッコミのようなもの。
どちらかが喋っている時には、相方は黙ってうなずいている、そんなやり取りのイメージです。
真夜中には、腎が最も活発に働き、膀胱は大人しく休んでいる のが健康な状態です。
真夜中に膀胱が活発に動くというのは、相方である 「腎(生命力の働き)」が衰えてきているサイン なのです。
疲労・ストレス・不安が引き金となって
環境の急変や、強い不安・ストレスによる心理的抑圧も、腎(生命力の働き)を弱めてしまいます。
当院でも、引っ越しや転校をきっかけに夜間頻尿を発症した、小学3年生の男の子がいました。
- 慢性疲労やストレス
- 冷え(冷え習慣)、飲食睡眠の不摂生
- 大病・ケガ・出産などによる消耗
- 不安・焦り・憤り・無力感といった心の問題
このようなネガティブ要因によっても、生命力の働きは弱められてしまいます。
若い年齢の人にも、夜間頻尿は起こり得るのです。
膀胱機能へのアプローチだけでは不十分です
当院では、症状部位や病名に対してだけでなく、夜間頻尿の背景にある原因を、東洋的な考え方で導き出し、より根元的な改善を目指します。
弱められた生命力の働きを補うことで、朝までしっかりとオシッコを溜めておけるような、心もカラダも温かく休まった状態 に近づけていくのです。
ブログ文責 橋本昌周