「痛くて歩けない」 坐骨神経痛の症状と原因

坐骨神経痛とは

  • 坐骨神経は人体で最も長くて太い神経です。その長さは1m以上にもなります。
  • 「坐骨神経痛」とは坐骨神経に沿ってお尻から脚にかけて起こる痛みの総称であって、ひとつの病気の名前ではありません。
  • 主な症状としては、お尻・脚の後面または外側の痛みやしびれ、さらに冷感や灼熱感を感じることもあります。
  • 症状は、脚の一部に現れることも、脚全体に現れることもあります。

坐骨神経痛の原因

坐骨神経痛の原因となる疾患

腰椎の変性によるもの が最も多く、

  • 腰部椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 腰椎すべり症

などが代表的です。

腰椎の変性以外の原因 としては、

  • 梨状筋(りじょうきん)症候群
  • 骨盤内の腫瘍
  • 帯状疱疹
  • 子宮筋腫
  • 変形性股関節症

などがあります。

また、心因性の坐骨神経痛(心因性疼痛)のような、

  • ストレス・精神的な要因により痛みやしびれが出現する
  • 検査を行っても原因が特定できない

といったケースもあります。

腰部椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアとは

  • ヘルニアとは、組織からその内容物が飛び出している状態をいいます。
  • 腰椎の間にある椎間板の中の髄核(ずいかく)が、周囲の線維を破って外に飛び出し、神経や血管を圧迫することによって痛みやしびれを引き起こすという疾患です。
  • 20〜30代の若年層にも多く発症 します。
  • 近年では、発症に関連する遺伝子が発見され、ヘルニアを起こしやすい体質の遺伝についての研究も進められています。
  • 重労働などの過負荷で発症するケースもあります。
  • 検査では、下肢伸展挙上テスト(SLR)が陽性 となるのが特徴です。
はなちゃん

下肢伸展挙上テストって何ですか?

はなのやま

仰向けに寝た状態で、脚をまっすぐに伸ばして、徐々に挙げていく検査法です。

  • ヘルニアがあると腰の痛みが強まり、脚が挙がらなくなります。
  • 痛む側と痛くない側の脚の高さを比べます。
  • 痛みを誘発するテストなので、何度も行ってはいけません。

痛みやしびれの部位

脚の痛みやしびれの部位は、ヘルニアの発生する部位によって異なります。

  • 第4腰椎~第5腰椎の間のヘルニア
    ふくらはぎの外側や足の甲から親指 にかけて痛みやしびれが起きます。
  • 第5腰椎と第1仙椎の間のヘルニア
    ふくらはぎの裏側から足裏や小指 にかけて痛みやしびれが起こります。
  • 多くの場合、どちらか片方のお尻や脚が痛くなり、左右とも同じように痛むことはまれ です。
はなのやま

痛みは座っている時に強くなることが多く、くしゃみや咳をするだけでも腰から脚にかけて痛みが走ります。

ヘルニアによる神経圧迫が強いと 頻尿 になったり、排尿や排便がしにくくなる 膀胱直腸障害 になることもあります。

腰部脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症とは

  • 腰椎に骨棘(トゲ状の変形)や椎間板の狭小化という変形が起こり、神経が圧迫されて痛みを引き起こします。
  • 生まれながらに脊柱管の中が狭い作りになっている「先天性狭窄症」と、
  • 加齢によって椎体の変形が進んだために引き起こされる「後天性狭窄症」 に分かれます。
  • 若い年代に発症することもありますが、多くは 中高年以降に発症 します。

症状としては、立位や歩行を続けると痛みで歩けなくなり、少し休めば再び歩けるようになる 間欠性跛行(かんけつせいはこう)が特徴的です。

脊柱管の狭まりによる神経圧迫が強いと 頻尿 になったり、排尿や排便がしにくくなる 膀胱直腸障害 になる場合もあります。

腰椎すべり症

腰椎すべり症とは

  • 腰椎がずれる(すべる)ことにより脊柱管が狭くなり、神経組織が圧迫され、様々な症状が現れます。
  • 脊柱管狭窄症と同様に、立位や歩行を続けると痛みを生じ、少し休ませると再び歩けるようになる 間欠性跛行(かんけつせいはこう)が特徴的です。
  • 神経圧迫の度合いによっては、下肢のしびれや麻痺、排尿障害 を生じることもあります。
  • 腰椎すべり症は大別して、変性すべり症、分離すべり症、形成不全すべり症の3種類に分けられます。

変性すべり症

  • すべり症の中では最も多くみられます。
  • 加齢に伴って椎間板(腰椎の間にあるクッションとなる組織)や椎間関節が変性し、腰椎が正常な位置からずれてしまいます。
  • 特に第4腰椎と第5腰椎の間に生じることが多いといわれています。
  • 中年以降の女性 に多い傾向があります。

分離すべり症

  • 腰椎周辺の組織の弱さと長期間かけて腰椎の変性が進むことによって起こります。
  • 第5腰椎の分離症が多く、その場合、第5腰椎と第1仙椎の間ですべりが生じます。

形成不全性すべり症

  • 生まれつき仙骨の上縁が丸い形になっているため、すべり症が発生しやすくなります。
  • 腰椎の分離も伴っていることが多く、大きなすべり症に進行する可能性があります。
  • 形成不全性すべり症は 下肢の麻痺 を生じやすいのが特徴です。

梨状筋症候群

梨状筋症候群とは

  • お尻にある 梨状筋 という筋肉がこわばり、その下にある坐骨神経が圧迫されることで痛みやしびれを生じます。
  • スポーツ(ゴルフが多い)、長時間の運転、トイレに座るなどの行為で、お尻の筋肉や坐骨神経に負荷がかかると、症状が現れたり悪化したりします。

症状としては、

  • お尻・太もも・ふくらはぎにかけての痛み・しびれ
  • 持続する チクチクとした痛み

が特徴的です。

お尻の梨状筋がコリコリと触れることもあります。

ストレスや精神的な要因(心因性の坐骨神経痛)

不安・焦り・憤り・無力感のような心理状態にある時、これらと向き合うことを避けるために、私たちの脳は無意識のうちに痛みを作りだそうとします。

強いストレスや精神的な要因により痛みを生じる病態が 心因性疼痛 です。

心因性坐骨神経痛 は、心因性疼痛が坐骨神経に沿って起こるものです。

  • 過度な競争を強いられたり、
  • 能力を超えた結果を要求されたり、
  • モチベーションが低下した状態での過重な労働など、
はなのやま

逃れられない強いストレスや心の葛藤で発症しやすい という研究データがあります。

アメリカでは、(職場からの強いストレスによる)労災として認定されている州もあるほどです。

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慢性的な痛みがもたらすもの

慢性的な痛みがもたらす二次的な症状には、

  • 食欲不振
  • 睡眠障害
  • 便秘
  • 生活動作の抑制
  • 不安、抑うつ(うつ傾向)
  • 破局的思考(ネガティブ思考)
  • 性欲の減退

などが挙げられます。

  • 強い痛みが続けば、 QOL(生活の質)やADL(日常生活動作)が低下 し、仕事や日常生活に支障をきたします。
  • また、長期間のダメージを受け続けた神経線維そのものが痛みを作りだす 神経炎痛(神経因性疼痛) を併発しやすくなります。
  • 慢性的な痛みによってストレスが蓄積され、心身症やうつ病へと進行する ケースも少なくありません。

坐骨神経痛は全身(心)からのSOSサイン

坐骨神経痛の発症前から、心身の内に生じていた弱まり について考えてみることも大切です。

  • 慢性疲労
  • 精神ストレス
  • 冷え(冷え習慣)、飲食・睡眠の不摂生
  • 気力や体力の消耗
  • 不安・焦り・憤り・無力感といった心の問題

ネガティブな要因が重なり、冷え、疲れ、限界に近づいたカラダは、局所に病巣や症状を作り出すことでバランスを取ろうとします。

はなのやま

痛みやしびれは「今はしっかりと休め」というカラダからのSOSサインです。

慢性化(重症化)し、外科的な処置や鎮痛剤が必要になる前に、早めのケアをおすすめします。

ブログ文責 橋本昌周

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